【S】―エス―01
第37章 傀儡
――以下本文――
『――いきなりこんなものを送りつけてすまない、ハロルド。……いや、リヒャルド。
君はこの名前で呼ばれるのを、血筋について話されることを嫌っていたね。ドイツ人の父親とチェコ人でドイツ系移民の血を引く母親を持つのだから、辿ってきた心境は複雑だろう。
ところで、今度の日曜日なんだが……
――中略――
だがリヒャルド、私は本当の君に語りかけたい。娘の為にも……。君の話した計画、あれはやはり間違えている、と。
例えそれがクローンだったとしてもね。
まだ君の中に良心の欠片でも残っていて、今一度、このことを考え直してもらえるよう、切に願うよ』