テキストサイズ

【S】―エス―01

第37章 傀儡

 
 何かあったのでは……。


 携帯に視線を落とした瞬矢の脳裏に、ふっとそんな考えがよぎる。


 繋がらない携帯の通話をぷつりと切り、再びズボンのポケットに仕舞おうとしたその時、手の内で着信音が鳴る。見ると刹那の携帯からであった。


 今しがたまで、不通であった相手からの折り返しの連絡。よもや何かの罠なのではないか――と、思わず勘ぐってしまう。


 だが出ない訳にもいかず、訝りながらも携帯を通話の状態にし、耳に当てる。


「……刹那?」


 恐る恐る、携帯越しに向こう側へ呼びかけた。




     **

ストーリーメニュー

TOPTOPへ