
【S】―エス―01
第5章 接触
◇2
――201X年 5月7日。
いつも通り茜は教室の左から2列目、真ん中あたりにある自分の席へ。
時刻は、ちょうど5限目を終えた休み時間。
机に突っ伏しぼんやりと見上げる窓の外の天気は、まるで今の茜自身のようにどんよりと灰色に沈んでいた。
――それは2日前のこと。
**
その時初めて知らされた真実に、茜は憤(いきどお)りをあらわにする。
「どうして言ってくれなかったの?」
――沈黙。俯きその表情は窺えない。
「もういい! そんなに1人で背負い込みたいなら、勝手にすればいいよ!」
感情任せに吐き出した台詞を残し、部屋を飛び出す。刑事の姿が目に入ったが、今の茜にはどうでもよかった。
住宅街をとぼとぼ歩き、やがて小さな公園に辿り着く。誰もいない公園の奥で、乗り手もなく揺れるブランコが目に留まる。
向かって左側に乗り足で少し漕いでみた。
あの時、瞬矢は言い返さなかった。俯きただ黙っていた。
きっと、始めから覚悟していたのだろう。
(言いすぎた……かな?)
冷静さを取り戻し、沸々と後悔の念が込み上げてくる。
――201X年 5月7日。
いつも通り茜は教室の左から2列目、真ん中あたりにある自分の席へ。
時刻は、ちょうど5限目を終えた休み時間。
机に突っ伏しぼんやりと見上げる窓の外の天気は、まるで今の茜自身のようにどんよりと灰色に沈んでいた。
――それは2日前のこと。
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その時初めて知らされた真実に、茜は憤(いきどお)りをあらわにする。
「どうして言ってくれなかったの?」
――沈黙。俯きその表情は窺えない。
「もういい! そんなに1人で背負い込みたいなら、勝手にすればいいよ!」
感情任せに吐き出した台詞を残し、部屋を飛び出す。刑事の姿が目に入ったが、今の茜にはどうでもよかった。
住宅街をとぼとぼ歩き、やがて小さな公園に辿り着く。誰もいない公園の奥で、乗り手もなく揺れるブランコが目に留まる。
向かって左側に乗り足で少し漕いでみた。
あの時、瞬矢は言い返さなかった。俯きただ黙っていた。
きっと、始めから覚悟していたのだろう。
(言いすぎた……かな?)
冷静さを取り戻し、沸々と後悔の念が込み上げてくる。
