
【S】―エス―01
第5章 接触
それは、当時を知る唯一の人物である六野の証言を得ようと河川敷に訪れた時。
頭を抱え込んだ瞬矢。やがてふらりふらりと野次馬たちから離れ、1人、橋の方へ歩いてゆく。
「瞬矢!?」
茜は栗色の髪を宙に躍らせ、彼を呼び止める。
今の彼には、自分の声が聞こえていないのだろうか。こちらに一瞥もくれない。
茜は後を追いかけようとした。だが、
「――ねえ!」
やって来た香緒里に呼び止められ、立ち止まり振り返る。
「あなた、自分がいったい誰といるのか分かってるの? 彼は……」
香緒里の言わんとしたことを察してか、怪訝(けげん)な表情を見せ答える。
「ご忠告、どうも有り難うございます。けれど私は彼を……瞬矢を信じてますから」
軽く一礼し、瞬矢の後を追うように去っていった。
**
そして今彼女は以前と同じ、真っ直ぐ芯の通った鋭い視線を自分に向けている。
周囲に気を遣ったのか、香緒里は「ここじゃなんだから」と、すぐ近くのカフェテリアに入ることとなった。
「それで……、なんなんですか?」
頭を抱え込んだ瞬矢。やがてふらりふらりと野次馬たちから離れ、1人、橋の方へ歩いてゆく。
「瞬矢!?」
茜は栗色の髪を宙に躍らせ、彼を呼び止める。
今の彼には、自分の声が聞こえていないのだろうか。こちらに一瞥もくれない。
茜は後を追いかけようとした。だが、
「――ねえ!」
やって来た香緒里に呼び止められ、立ち止まり振り返る。
「あなた、自分がいったい誰といるのか分かってるの? 彼は……」
香緒里の言わんとしたことを察してか、怪訝(けげん)な表情を見せ答える。
「ご忠告、どうも有り難うございます。けれど私は彼を……瞬矢を信じてますから」
軽く一礼し、瞬矢の後を追うように去っていった。
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そして今彼女は以前と同じ、真っ直ぐ芯の通った鋭い視線を自分に向けている。
周囲に気を遣ったのか、香緒里は「ここじゃなんだから」と、すぐ近くのカフェテリアに入ることとなった。
「それで……、なんなんですか?」
