
【S】―エス―01
第5章 接触
いつも通りの不器用な一面を覗かせる瞬矢に、茜は多少の安堵を覚えほっと息をつくのだった。
ゆっくりと歩を進めた茜が、いつもと真逆のソファへちょこんと腰掛けたのをかわきりに瞬矢は言う。
「悪かったな。これからは隠しごとなしだ」
「うん!」
にわかに頬が熱くなるのを感じながら、茜はにっこりと笑い頷く。
(そうだ。私が瞬矢を信じなくって、誰が信じるっていうの)
だが、それと同時に首をもたげてくるもうひとつの疑惑。今はそれにあえて気づかないふりをしていた。
「それで、さっそくなんだが……」
そう言ってズボンの左ポケットから何かを取り出そうとしたその時、テーブルの上にあった瞬矢の携帯が鳴る。
話の腰を折られたとばかりに溜め息をつき、携帯へと手を伸ばす。
画面に表示されている着信履歴を見て、面倒臭そうに通話ボタンを押す。
「お袋か?」
明るく温かみのある声が、瞬矢の携帯越しに聞こえてきた。
『――あっ、瞬ちゃん? あなた珍しく家に帰って来たと思ったら花なんてくれるから、母さんびっくりしちゃった』
「何言ってんだ? 俺ずっと帰ってねーし。つか、その呼び方はやめろ!」
ゆっくりと歩を進めた茜が、いつもと真逆のソファへちょこんと腰掛けたのをかわきりに瞬矢は言う。
「悪かったな。これからは隠しごとなしだ」
「うん!」
にわかに頬が熱くなるのを感じながら、茜はにっこりと笑い頷く。
(そうだ。私が瞬矢を信じなくって、誰が信じるっていうの)
だが、それと同時に首をもたげてくるもうひとつの疑惑。今はそれにあえて気づかないふりをしていた。
「それで、さっそくなんだが……」
そう言ってズボンの左ポケットから何かを取り出そうとしたその時、テーブルの上にあった瞬矢の携帯が鳴る。
話の腰を折られたとばかりに溜め息をつき、携帯へと手を伸ばす。
画面に表示されている着信履歴を見て、面倒臭そうに通話ボタンを押す。
「お袋か?」
明るく温かみのある声が、瞬矢の携帯越しに聞こえてきた。
『――あっ、瞬ちゃん? あなた珍しく家に帰って来たと思ったら花なんてくれるから、母さんびっくりしちゃった』
「何言ってんだ? 俺ずっと帰ってねーし。つか、その呼び方はやめろ!」
