【S】―エス―01
第7章 再会の旋律
◇2
同日、午後4時03分。
警察が瞬矢の任意同行を要請した。
3人目の被害者、渡辺 真理の左頬や壁から出た指紋と手紙に付着していた瞬矢の指紋が一致したのだ。
その日、瞬矢のもとを訪れた茜は、到底信じられない光景を目撃する。
「何……?」
刑事が何か言ったことに対し「知りません。任意でしょう?」そんな押し問答を繰り返していた。
だが、やがて辺りを見回しひとつ溜め息をつき、
「分かりました」
腑に落ちないながらも人目を憚(はばか)ってか、同行を求めた刑事の後に続く。
偶然その様子を目にした茜は、何が何やら分からずただただ狼狽え、ビルの前に立ち竦む。
「なん……で?」
茜が瞬矢のもとを訪れた時、すでに彼は警察車両に乗り込む寸前だった。
「瞬矢!」
思わず荒らげた声に、瞬矢は足を止めて振り返る。咄嗟に駆け寄り、その右腕を掴む茜。
「なんで!? 捜してくれるって言ったじゃない!」
目に涙を溜め喚きたてる茜の頭に瞬矢はぽんとその大きな手を乗せ、ズボンのポケットから何かを取り出し渡す。
「これ、預かっといてくれ」
同日、午後4時03分。
警察が瞬矢の任意同行を要請した。
3人目の被害者、渡辺 真理の左頬や壁から出た指紋と手紙に付着していた瞬矢の指紋が一致したのだ。
その日、瞬矢のもとを訪れた茜は、到底信じられない光景を目撃する。
「何……?」
刑事が何か言ったことに対し「知りません。任意でしょう?」そんな押し問答を繰り返していた。
だが、やがて辺りを見回しひとつ溜め息をつき、
「分かりました」
腑に落ちないながらも人目を憚(はばか)ってか、同行を求めた刑事の後に続く。
偶然その様子を目にした茜は、何が何やら分からずただただ狼狽え、ビルの前に立ち竦む。
「なん……で?」
茜が瞬矢のもとを訪れた時、すでに彼は警察車両に乗り込む寸前だった。
「瞬矢!」
思わず荒らげた声に、瞬矢は足を止めて振り返る。咄嗟に駆け寄り、その右腕を掴む茜。
「なんで!? 捜してくれるって言ったじゃない!」
目に涙を溜め喚きたてる茜の頭に瞬矢はぽんとその大きな手を乗せ、ズボンのポケットから何かを取り出し渡す。
「これ、預かっといてくれ」