【S】―エス―01
第7章 再会の旋律
――静寂。時計の音だけが鳴り、茜の頭を冴え渡らせた。
『大丈夫。約束は守る』
去り際、そう言って悪戯っ子のように歯を見せ笑う瞬矢の顔がふっとよぎる。――と同時に、以前遭遇した瞬矢の双子の弟『刹那』の顔が浮かぶ。
(私が、なんとかしなきゃ!)
瞬矢以外に、自分しか『刹那』の存在を証明できる人はいない。そう考えた茜はソファから立ち上がり、部屋を飛び出す。
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翌、9日日曜。茜は瞬矢のアリバイを証言しようと警察署まで来ていた。
だが親しい者の証言は証拠とされないと突っぱねられ、ひとつ溜め息をつきとぼとぼと引き返す。
(やっぱり、瞬矢がいないと)
無意識のうちに自分が瞬矢に依ってしまっていることに気づき、嘲笑と共にまたも深い溜め息をつく。
いくら喚(わめ)いたところで相手にされないのは分かっていた。
(このままじゃ、本当に瞬矢が犯人にされちゃう。でも、どうすれば……)
警察署の入り口で、眼鏡をかけた1人の男とすれ違う。瞬矢と同年代くらいだろうその男が口ずさむ懐かしいメロディー。
(この曲……!)
その旋律に、茜は思わず振り返る。