友達以上恋人未満
第5章 ホテル
それから彼は仕事帰りに
たまにうちに来て、
私を抱くようになった。
私たちが会うのは、
それだけだった。
彼は仕事が休みの日には
連絡をくれなかったんだ。
私もとくに詮索はしなかった。
わかっていたのかもしれない。
聞けば傷つくと。
聞く勇気もなかった。
めんどくさいことは聞かれたくないだろうから
めんどくさくないいい子を演じた。
会いたいとは言わなかった。
彼が会いたいと言う日に
会えないとも言わなかった。
すべて彼のペースに合わせた。
だって、彼が寂しそうな顔を時折見せる事が
なくならなかったから。
それどころか、
彼はどんどん寂しそうな顔をすることが増えた。
私はそんな彼を
なんとかして癒してあげたくて、
彼のペースに合わせるしかなかった。