山岸君と照井君
第17章 甘い香り―――…。
姉ちゃんが…深くため息をつく――――…
ま…男女でも上手く行かないときは…上手く行かない…
人の気持ちとか…
自分の気持ちとかは―――…
保証できないって…
言いたいんだろうなぁ…
姉ちゃんも……
そんな経験…したのかな?
全部が全部…上手く行かないか…
ましては…同性だ……
障害は多いに違いない…
「―――――…ああ…
まずは、俺達の気持ちや関係をしっかりしてからだよな…」
「……まっ―――…協力するから…頑張りな」
姉ちゃんは、じゃぁね〜っと…俺達とは別の方向にある大学に向かって歩きだした…
“協力するから”か―――…
別に、協力なんて…いらないけど…
その言葉だけで…
十分だよ――――…
さんきゅう……姉ちゃん…
「―――…宏樹、泣きそうだな…ハンカチいるか?」
「///なっ、泣かね〜よ!!」
俺は、制服の袖で涙を押さえた―――――――――…