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風景画

第25章  poemtory カクテルはジンベースで…




磨きこまれた

オークの一枚板のカウンターは

時が染み込んで艶めいてる



目を上げれば

大きく切った窓から

絵画のように景色が浮かぶ



ビルの最上階からのぞむ

夜になりきらない夕景…

暗くなる前から飲むことに

罪悪感をもたなくなったのは

いつからだろう



そう

この間のあのカクテル

何といったか…

ジンとシャンパンの…

ああ、フレンチ75

次はそれを



いつもと違う夢を見たくなったら

ただグラスを変えるだけ

手の中に虹を掴むこともできる



シンガポール・スリング


コットンフラワー


マタドール


グリーンアイズ


ルナパーク


ブルーローズ


バイオレットフィズ



七色のグラスを並べたら

どんな夢になるのだろう



もうこれだけで

虹を手にしたような気分になるね

でもこの七色を飲み干したら

天国を見られるかな

虹の向こうに…なんて

…ああ

雲の流れが早くなった

最後はお馴染みのものにしようか

グレンフィディックをストレートで



チェイサーが咽喉に心地よい



どの夢に酔ったとしても

変わらない…

頬杖をつきながら

想っているのは いつも

あの人のことだから







(了)



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