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風景画

第26章  時雨月




夜明けの風が

読みかけた本のページを

躊躇いがちに捲り

うつ伏せ

ベットから落ちた手の先を

撫で上げる



緩やかな目醒め…



冴えた空気に身を竦め

両の肩を抱くように

窓辺に立てば

紅に染まる東の空



その鮮やかさに心弾み

唇から零れるあなたの名…



今 朝の光にとけてゆく







(了)



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