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風景画

第28章  時雨月 ②




その花の名 紫御殿



急ぐ足取りの傍らで

ひそやかに咲く



花を葉を

紫の衣に包み

嵐を兆す風の中端然と

どれほどの雅な夢を映すのか



けれど

指先に隠れるほどの儚さは

夕闇にたたずむ

恋しい人に想われて…



こみ上げる愛おしさに

胸が震える







(了)



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