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風景画

第28章  時雨月 ②




暁に吹く風は

ひやりと背中を撫で上げる



こんな朝は

いっそ肌を灼く陽が懐かしく

心は南へと旅に出る



降り注ぐ光の中

白砂に落ちる影は濃く

遠く沖合には

帆を上げた船が見えるだろう



七つの海に想いを馳せて

愛しいあなたと

椰子の木陰でビールを飲もう



聴こえるのは風の唄と波の音

目に映るのは碧い海

ただそれだけで日を過ごす



あなたと二人微睡みながら

醒めない夢に溺れたい







(了)



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