風景画
第35章 poemtory 〜その日、その瞬間…
** Actress **
幕がおりた…
一瞬の静寂の後
地鳴りのように拍手が轟き
歓声が波のように押し寄せる
熱 興奮 賞賛…
ああ、眩しい…!
君は確かに夢をかなえた
聞こえているだろう
この拍手と歓声
少女の頃の憧れは
今その手の中にある
何故だろう
涙が流れてとまらない…
舞台上には
淘然と立ちつくす主演女優と
駆け寄る足音 その名を呼ぶ声
あの怒濤のような響きはなに?
ああ、私を呼ぶ声がする
これは…私への、喝采
この熱、空気、うねり…
夢ならば
このままずっと
醒めないでほしい…
拍手はさらに大きくなる
あの頃はいつも三階席だった
劇場への道は
眩しい夢を語った道
僕は君の最初のファンだと
見つめ合った切ない道
ひとりで歩くようになってからも
心はいつも傍にいた…
キャスト全員が舞台に揃う
この中に
あなたの想いをこめた
拍手があるのを感じる
果てない私の夢を
いつも見守ってくれていた
かけがえのない あなた
本当は飛んでいきたい!
すぐにでも…
なりやまない拍手の中
今
カーテンコールの幕があがる
(了)