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風景画

第41章  intermezzo 螺旋階段 〜天へ続く道




村のはずれにそびえる塔

その回りにぐるりと張りつく

螺旋の階段

少年は一つ また一つと

登りゆく



天まで続くと伝わるその塔は

登りきった者はなく

戻った者もいない…



けれど少年は天を目指す

青白い頬のまま眠り続ける

愛する少女へ

星を贈るために



細い月は影も映さず

北風が時折肩を揺さぶる



錯覚とあてどなさ

膝を付きそうなひと足が

ついに頂きを踏みしめる

しかし

息を弾ませ見上げる星は

ひたすら彼方でその手を拒む



神さま、神さま、どうか…



少年は爪先立って手を伸ばし

星を見つめる



その刹那

一際強い風が彼を宙へ攫い

小さな体は闇へと消える…



夜更けて

しじまに眠る少女のもとへ

流れ星ひとつ 窓から零れ

胸元にそっととどまり

静かに憩う…



少女の頬に紅が差す







(了)



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