風景画
第69章 poemtory 〜カウンター憧憬 Ⅱ
頬杖をついた腕の下を
時は流れる…
昼の憂いに迷い疲れて
顔を上げれば
バーボンのボトルが目にとまる
窓の景色は変わることなく
夜空を映し
柔らかな店の明かりが
グラスを弾く
そう
初対面の酒は
少しの緊張と気恥ずかしさで
胸が高ぶる
この酒…フォア・ローゼズ
なんと優美な名を持つことか
ストレートで一息に飲み干せば
すべての迷いが砕け散る
野性と洗練
脆さと強靱…
この酒を愛でるのは
瞳の美しい人、だろうか
想像は甘美な世界へと扉を開ける
重ねるグラスと漂う芳香…
いつしか
ひとりの人へ
想いが込み上げ心が揺れる
酔わせるのは酒か、それとも
見果てぬ夢か
せめて今だけ…
うたかたの夢に身をまかす
(了)