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風景画

第1章  風待月




夕闇せまる花の里

小雨に震える花菖蒲

薄紫に影を滲ませ揺れている



さながら佇む佳人の姿か



花弁に幾重も湛える雫

涙に思われ手を伸べはらう



想い堪えかね傘を差し掛け

寄り添いながら秘かに祈る



風よ 散らすな 儚い命を

雨よ 泣かすな 愛しい姿を






(了)


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