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凍夜

第1章 氷雨


ユキが、酔った顔で私を見つめ、微笑んでいたのは一週間前の事だった。

私はCOOLを灰皿で揉み消すと、裸足のまま、窓辺に駆けよった。

カーテンをめくりあげ、窓の外を覗いた。
窓ガラスを雨粒が叩きつけ、直ぐに流れ落ちていった。

空が泣いてるようだった。

いつもの見なれた町並みが鉛色の空の下、じっとりと濡れて沈んでいる。

〈ユキ〉
私は、窓ガラスを指でなぞった。

記された文字の向こう、遠くにテレビ塔が小さく霞んで目に映った。

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