凍夜
第2章 恥辱
~膝を抱き、ホームにしゃがみこんだ私の周りには人だかりができていた。
「気分悪いんですか?」
「救急車呼びますか?」
その声を必死でマサシが、遮っていた。
「なんでもないのでスミマセン!」
見上げると、私は好奇の目に晒されていた。
哀れみと、嘲笑が混ざりあったような視線。
マサシは私の体を抱き抱えるようにして立ち上がらせた。そして「歩くよ?」と、促した。私は、人だかりに向かって、真っ直ぐ顔を上げると足を一歩踏み出した。
コンクリートをピンヒールで踏む音が冷たくホームに響いた。
〈カツーンコツーン〉
人だかりが、割れてゆく。
私は、同じくこんな視線で見られた時の事を、また思い出していた。
《哀れみと、嘲笑の……》