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凍夜

第7章 海溝



その頃、銀さんが警察に拘留されていたため私の身のまわりを補助するという事で、家にやって来たのが、現在も一緒の土屋だった。



「初めまして!リナさん。ワタシ、社長には随分御世話になりましてね。今回の事大変でしょうがなんとかなりますから!ワタシ土屋と申します。何でもおっしゃって下さいね?」


土屋は銀さんの周りにいる若い衆の中では腹心の部下らしかった。


「ムショから出てきたワタシを雇ってくれて、食わして、住まわせてくれたんですよ、社長は!」

土屋の明るくて情にあつい性質に好感を持った私はすぐになついた。



土屋の口癖は、「なんとかなりますって!」

だった。

それは、土屋が刑務所に服役して学んだことらしく、何かにつけて「ムショではねー!」と例えばなしを持ち出した。

土屋の背中には立派なのぼり龍が描かれていた。


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