凍夜
第7章 海溝
「ソレジャネ……。」
少女はため息を1つつくと、くるりと背を向け他の女性たちのいる場所に向かっていった。
私はその姿をみつめながら、少女がマサシに抱かれている姿を思い浮かべて顔が熱くなるのを感じていた。
私は頭を振ると、立ち上がり店から飛び出した。
頭まで熱い。
《イヤイヤイヤイヤっ!》
私はトイレに入ると、シンクの上に貼り付けられている鏡に、自分の顔を映して眺めた。
鏡の中の私は顔がこわばって目が血走っていた。
明らかに動揺していた。
こんな顔、マサシには見られたくない。
〈バタン〉
背後の扉が開いたかと思ったら、鏡の中にマサシがいた。