食わず嫌い
第3章 チョコレート
とか言いつつ、なんとなくスーパーのバレンタインコーナーが気になる俺。
最終日だからか女たちが群がっている。
「歩くん、バレンタインコーナーのチョコの在庫なくなってきてるから補充して」
店長が台車に乗せた段ボールを持ってくる。
俺は怠そうに返事をして、女たちが群がるバレンタインコーナーへと向かった。
「すみませ~ん、このチョコもうないんですかぁ」
段ボールから商品を出そうとすると、女性客に声を掛けられる。
「あ、今から補充するんで」
そう言ってピンクの箱に入ったチョコをひとつ、その女性客に渡すと、
「良かった~! ルビーチョコ、どうしても彼に渡したかったんだよね~」
「……」
女性客は嬉しそうにレジに向かって行った。
その後、まだ商品を並べてないのに女たちが我先にへとルビーチョコを段ボールから取っていく。
「ちょっ…」
なんだよ、ルビーチョコって。
チョコなんてみんな一緒じゃねぇか。
でもルビーチョコをゲットした客たちは、みんな幸せそうな顔をしていた。