食わず嫌い
第3章 チョコレート
──は? なんだよ今の。
店のチョコ落としたの、俺じゃねぇし!
紛らわしい……。
渡されたチョコを棚に戻そうとすると、コンビニ店員と目が合った。
今の俺の気持ちを察したのか、苦笑される。
「~~~っ」
イラッとした俺はそのチョコを持って飯と一緒に会計した。
この際チョコをバリバリ食ってやろうと思った。
「あ、歩じゃん」
コンビニから出ると、偶然桐也に遭遇した。
「バイトお疲れ。今から歩んち行こうと思ってたんだ」
「……」
朝の会話を思い出して、俺は桐也から目をそらす。
「なに、どうした?」
「はぁ…お前が朝から変なこと言うから俺はっ…」
「ん? なにそれ。チョコ?」
桐也がコンビニ袋の中を覗く。
「ちがっ…これは自分で食うやつだ!」
「ふぅん。オレにくれるんじゃないんだ」
「てか俺から貰わなくても、すでに貰ってるだろ」
「まあね~」
そう言うと桐也は服のポケットからピンクの箱を取り出した。