ネムリヒメ.
第10章 眠らない夜.
すると聖くんはゴロンとアタシの隣にうつぶせになって頬杖をつく
「ちーちゃん、ひとりになるのイヤ!?」
「ゴメン…ね」
小さな声が部屋に消える
「そういうことなら…」
……!?
聖くんはにっこり笑うとポケットから携帯電話を取り出した
「こんな時こそ人は上手く遣わないと…♪」
「へっ!?」
「誰がいいかなー…」
誰がって……
聖くんは楽しそうに呟く
「誰に帰ってきてもらおっか♪」
「…!!」
その言葉でようやく聖くんのしようとしていることがわかった
「ぇ!! そんなの悪いよ、みんな仕事だし」
「大丈夫大丈夫♪ 雅と葵くんと渚くん…
そうだなー、雅に頼んで断られるのも腹立つし、ここはやっぱ時間に一番融通がきく渚くんかなー」
そういうと、聖くんは電話をかけ始める
「渚くん、出かけたばっかりだよ!? ダメだよ」
まだ彼が出かけて2時間くらいしかたってないというのに、帰ってこい…だなんて無理にも程があるよ
「渚くんならきっと大丈夫♪」
「え、そんなわけな…」
しかし、そんなこんな言っているうちに渚くんに電話が繋がったようで…
「あ、渚くん!? 帰ってきて」
『…は!? 喧嘩打ってんの』
開口一番、唐突にそう告げる聖くんに、 もっともの返事をする渚くんの声が電話から漏れて聞こえた