テキストサイズ

ネムリヒメ.

第12章 アイスクリームシンドローム.







ぇ…


え…


ええっ‼


そんなの言って……



…な……………







……言 っ た !?







「っ!!!」


目の前をかけのぼるように走り抜けるあの日の記憶


渚くんに初めてあった日…

彼に初めて抱かれたあの夜…


彼の部屋のバスルーム

アタシに向かい合って壁に手を付く渚くん

彼を見上げて今にも泣き出しそうなアタシ

服を着たままのアタシたちをシャワーが濡らしている


「泣けよ…」

「……っ」


渚くんの唇がそっと瞼に触れ、それまで堪えていた涙が溢れ出す

そして、震える手で彼のカラダにしがみつくアタシは…


「…抱いて」

「っ…!!」



「夜がくるたび…抱いて…」



確かにアタシは彼にそう告げた…


部分的に起こるフラッシュバック



「…千隼」


「ぁ…」


彼に名前を呼ばれハッとして、現実に連れ戻される


「ムカつく…オレの前で考え事とか、自分で言ったこと思い出してからにしろ」


静かだけど、怒りを含んだような彼の瞳がアタシをまっすぐ見下ろす


「…目の前で毎日抱いてるオンナ寝とられた身にもなれ」


「………」


「なぁ…」


渚くんは口を閉ざしたままのアタシ顎に手を添え、グイッと人差し指の腹で持ち上げた


切れ長の目を光らせてアタシを見つめながらゆっくり近づく彼の顔


しかし…




「言った…」





「は…!?」


唇が触れ合う寸前、アタシの突然の言葉に渚くんはピタリと動きを止めた




ストーリーメニュー

TOPTOPへ