ネムリヒメ.
第13章 シャンパン☆ストロベリー.
気がつけば毎晩のように彼に抱かれ、それを受け入れている自分がいる
思い出せないとはいえ、自分が拒まないところをみると、それなりに彼となにかしらのやり取りがあったんだと思う
そうじゃなきゃ、腑に落ちない
なんで記憶…とんじゃったのかな…
もしかして、簡単に思い出しちゃいけないようなコトがあったのかな…
そう思うと背中がゾッとした
窓から空を見上げると一番星が光っていた
もうすぐ夜がやってくる
…静かな夜は嫌い
得体の知れない不安が騒いで眠れないから…
ひとりで眠れない
ひとりが怖い
なんでだろ…
…記憶がないから?
それとも………
静かにやってくる夜の闇のように、ひとりになると脆くて弱い自分が見え隠れする…
アタシどうしちゃったのかな…
こんなに弱い子だったかな…
すると
…ゴーン…ゴーン…ゴーン…
ソファーで膝を抱えていると、大きな柱時計が分厚い音を奏でて夕方の6時を告げた
ごちゃごちゃした頭の中のモノを打ち消すようなその音に顔をあげる
「…誰か帰ってこないかな」
テレビに向かって子どもみたいなコトを呟くアタシ
渚くんはさっき出掛けて今夜は帰ってこない
『…お前、夜ひとりで寝るなよ…
オレの言ってるコトの意味…わかるよな』
さっき、彼が再び仕事に出掛けて行く前、アタシの髪を撫でながら言った言葉
『…ひとりで寝て、あんな辛い思いするくらいなら……本望じゃねーけど…』
ため息混じりで明きらかに不服そうな彼の表情が頭を過る