ネムリヒメ.
第13章 シャンパン☆ストロベリー.
「あ、葵くん!?」
きのうの優しい彼はどこにいったのだろうか…
そう、今の彼は例のごとく獲物を狩る獣の目
…渚くんといい、葵くんといい、寝起きのいい人はいないのだろうか
「言ったよね…」
「っ…」
少し掠れて低い声で見下ろしながら、彼の手がアタシの首筋をなでる
「オレ、寝起きすごい機嫌悪いって…」
はっ………!?
聞いてないですけど…
「え…」
言葉を失い、ぱちぱちと瞬きを繰り返すアタシに彼が続ける
「ちゃんと…ゴメンって言ったから…」
ゴメンって…なに?
もしかして…!?
…寝る前の "あれ" !?
"…ゴメン…ね………す…き…"
きのう彼が眠りに落ちる前に呟いたあの言葉が脳裏に過る
「あれって…まさか…」
葵くんが口元を妖しく歪める
「そ、眠くて途切れてたなら謝るけど…なんて聞こえた!?」
ゴメンね…すき…
そう、あれは寝言やリップサービスじゃない
紛れもなく、彼からの忠告だったのかもしれない