ネムリヒメ.
第14章 シュガー&スパイス
なんでそうなるかな…
「へ、平気だもん」
「そっ!?」
顔を真っ赤にするアタシを見て葵くんは笑い声をあげる
「オレ謝んないけど、抱っこならいくらでもしてあげるよ!?」
は…
「なんでもない子を本気で抱いたりしないから…」
「…………!!」
な…なにそれ…
意味…わかんないよ!?
「それ、口説いてる…の!?」
恐る恐る彼の顔を見上げる
「うん、口説いてる」
「っ…!!」
あ、あ、朝からこんな場所で、そんな必殺技の笑顔でサラッと口説かれても困る…よ
それ、ポップコーン買いに行きながらする会話じゃなくない!?
すると、すれ違う人混みに肩がぶつかりそうになって、彼に肩を抱き寄せられる
わっ!!
フワッと風が揺れて爽やかな彼の香水の香りが鼻を掠めて、心臓を大きく揺らした
しっかり肩を抱く大きな手…
綺麗な指…
ず…ズルいシチュエーションだよ、これ
アタシもどうしたの
なんで、こんなにドキドキしてるの
やっぱりきのう、モヤモヤと一緒に心臓とトキメキの鉄壁ガードぶち壊されたんだ…
そっかそっか…
そうなんだ
っ…じゃないからっ!!