テキストサイズ

ネムリヒメ.

第14章 シュガー&スパイス





「でも、周りなんてどうでもよくない!?」


え…

アタシの手を引くとんでもない彼がアタシの腰を抱き寄せる




「オレは今ちーちゃんしか見てないし」


「………!!」




カンカンカーン!!


頭のなかで鳴り響く一発K.O.を告げるゴングの音

ヤバッ…

なにそれ

…腰、碎けるんですけど




「ほーら、笑うの!! 楽しんだもの勝ちなんだから」

「む…無理…!!」


いったい、その甘い笑顔で甘いセリフとかどれだけ犯罪を犯すわけ!?

この状況で笑えって、無理、無理…無理っ!!


「葵くんがドキドキするコトばっかり言うから、できないよ」

「…………」


こんなコト言ってるだけでも恥ずかしくて、俯いたのはいいけれど目に入るのは指を絡めるように繋がれた手


あ…意味なかった

…撃沈………


耳まで真っ赤にして黙りこくっていると、目当てのポップコーンのワゴンが見えてくる

すでにできている列の最後尾に並ぶと、それまで黙っていた葵くんが繋いでいた手を自分の胸に当てた


「ね、オレもドキドキしてるから、お相子にして!?」

「…は…い…!?」


なん…だって…!?

思いもよらぬ彼の言葉に瞬きを繰り返す


「なにその顔」

「え、だって…」

「誰だって初めてデートはドキドキするでしょ」

「あ、うん」


まぁ、そう…だろうけど




「それに、誰かにこんなにドキドキするの久しぶりだから…」



「………!!」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ