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ネムリヒメ.

第14章 シュガー&スパイス





え…

どっからどう考えても女の子には不自由してなさそうなモテ男の彼が、ポップコーンを買いながら戸惑うように発した言葉に思わず耳を疑う


「………」

「はい♪」


意外すぎる彼の言葉にポカンとしていると、ポップコーンが詰まったパークのキャラクターのバケットが首にかけられた


「オレのブラックペッパー♡」

「あ…うん」


ピリッとスパイシー、ブラックペッパーね…

約束したし、しょうがないな…グッバイ、キャラメル


「しょげないの、ちゃーんと甘いオヤツも買ってあげるから」

「ホント!?」


ああっ、釣られたっ!!

シンプルな構造のアタシの瞳はさぞかしキラキラしてるだろう…

思いきり彼を見上げれば、眼鏡の奥で優しく微笑む彼の瞳と視線が絡む


トクン…


って、いまのトクンってなに!?


「ちーちゃんのその笑顔、今日はオレが独り占めだね」

「………!!」


あーあ…

心臓はうるさいし、笑顔は眩しいし、

すっかり葵くんに魅了されてませんか…




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