ネムリヒメ.
第3章 無くしたモノ.
「……お前、なに溺れてんの!?」
「ぇ………」
バスルームから出て早々、ソファーに身を沈める彼にそう言われてピタリと身が凍りついた
バレてる!!?
「べ、別に溺れてなんか…」
「そ!?」
ソファーの背もたれで彼の顔は見えないけど、その声絶対笑ってるよね
はぁ…最悪…
「……支度できたら、食事にするよ」
「ぇ…!?」
すると、ソファーから彼のそんな声がして少し戸惑った
「でもアタシ食事どころじゃ…」
こんな状況で悠長に食事なんてしてる場合じゃないと思うんだけど
「大丈夫、話はあと。きのうもろくに食事とってないんだから…」
確かに気がつけば時計はもうお昼をまわっているから、お腹はペコペコだ
「ほら、支度して」
見ればきのう着ていた白いフレアのワンピースが綺麗にハンガーにかけられている
ぁ…クリーニングされてるし
「ぁ、うん…」
確かに、腹が減ってはなんとやらだし、渚くんはアタシのコトを知ってるんだよね…
アタシも彼を知ってる…
彼がそう言うなら…
あってないような選択肢
彼の声にアタシは急かされるように準備を始める
髪を乾かし、ワンピースに袖を通す
アタシは適当に身なりを整えると、渚くんと一緒に部屋を出た