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ネムリヒメ.

第3章 無くしたモノ.







「ん!?」


アタシの視線に気がつくと、伏せていた長い睫毛を揺らして渚くんは微笑む


アタシ…


「っ…」


そんな彼の表情になんだか急に恥ずかしくなって、赤くなった顔を隠すように下を向いた


「ちーちゃん?」


不思議そうにアタシの顔を覗きこむ聖くん


「…それから?」


"…安心してわかることは話して、ね…"


聖くんの優しい声に、先ほど彼に言われた言葉を思い出す


黙っていたらなにも解決しないんだよね…

言え、アタシ…



「あとはね…………なの」

「ん?」


聖くんが小さな声で呟くアタシにそっと耳を傾けてくれる





「っ……渚くんに抱かれたコトしか覚えてない…の」





「………」


アタシの精一杯出した小さな声がダイニングの空気に溶けていって、それから少しだけ沈黙が流れた




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