ネムリヒメ.
第5章 シャンプーとアイスクリーム.
その頃…
聖は千隼の去った部屋でソファーにもたれながら、すっかりとろけて液体になったバニラアイスを見つめていた
「ちーちゃん、無事に部屋に帰れたかなぁ…」
聖はクスリと喉を鳴らしながら、楽しそうに口元を歪める
「…葵くん好みの格好…させちゃったけど」
クスッと笑いながら、アイスのカップを手に取る聖
「あはっ、オレは今日はちゃーんと部屋に返してあげたけど……途中で葵くんに襲われてたりして♪」
そして、カップの中に指を滑らせ溶けたクリームをすくうと口元に運んでペロリと舐めた
鼻に抜けるバニラの香りが、さっき奪ったばかりの彼女の甘い唇を思い出させる
「あまっ……バニラってこんな甘かったっけ…」
その味にぞわりと全身に鳥肌がたった
彼女が溶かしたアイスはいつもより甘い気がする
聖はソファーに寝転ぶと楽しそうに目を細め、溶けたアイスを味わうのだった