ネムリヒメ.
第5章 シャンプーとアイスクリーム.
一方、アタシはそんな聖くんの思わくなど知らず、部屋の前の廊下で葵くんの腕のなかに 未だに閉じ込められている
「ちょっ…と、葵くん…」
彼の手が戸惑うアタシの長い髪に触れる
「綺麗な髪…」
長くて綺麗な指で髪を梳いて唇を寄せる葵くん
「…ナギの匂いがする」
葵くんの滑らかな仕草に鼓動がだんだん大きくなる
「聖の部屋にいたの?」
「ん…っ」
葵くんの吐息が耳にかかって、肩がピクリと揺れた
「聖の匂い…するし…」
葵くんが顔を上げて、艶やかに光るその瞳がアタシを捉える
「他のオトコの匂いプンプンさせて、そんな格好してるなんて反則…」
綺麗な指で頬を撫でられ、彼が触れたところから熱を帯びていく
「……っ………」
渚くんと聖くんによってすでに十分に掻き乱された頭のなかは、いつパンクしてもおかしくない状況下にあるわけで…
最後のとどめと言わんばかりのタイミングで、葵くんによって完璧に思考停止状態となる
すると葵くんは首元に手を滑らせると、アタシの肩にかかった髪を後ろに払った