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咲き乱れる桜

第1章 囚われた少女


「……」

「だんまり、みたいですね?」

土方を見ながら
総司という男性がそう言った…


「……女、着物を脱げ。」


「…………へ?」


マヌケな声が出た。

着物を脱ぐ理由がわからない。


「間者かもしれねぇんだ。
調べるのは当たり前だろ?」


さも、当たり前の様に言い放つ土方

でも、私は
長州なんて関わりは全くない…

脱ぐ必要などないはず…


怖くて声が出ない為

首を横に振った。


「……そうか。
間者だと、認めるって事だな?」


「……違…います…」


「違うなら、脱げるだろう?

見られちゃいけねぇもんでもあんのか?」


「……」

「ほら、土方さんが聞いてるよ?」

呑気な声が
入ってきた戸の方から聞こえてきた。


そして、
カチャッと音がして
また、土方の方を見ると

手には刀……

怪しく光るその刀に
息を飲んだ。


「どうする?

脱ぐか、今ココで間者として死ぬか…」


グッと耐えていた涙が流れ落ちる。


「あーあ。
泣かしちゃった。」

でも、彼は助ける気なんてない…


私は、
訳も分からず、殺されたくなくて
震える手で着物に手をかけた……


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