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お嬢様♡レッスン

第116章 雲の上で×××

飛行機が離陸し、シートベルト着用のサインが消えると、葛城は早速、キャビンアテンダントにベッドの準備を申し入れる。

彼等がベッドメイキングをしている間、葛城は他の重役と話があると言って、他の客室へと行ってしまった。

仕方が無いので綾芽は、通路から彼等の様子を見学する事にした。

先ずは座席の間にある、テーブルと仕切りをキャビンアテンダントが押し下げる。

更にシートを前に倒し、その後ろの壁面から、折り畳み式のベッドをパタンと倒して広げる。

そしてビニールに包まれたリネン類を取り出して敷き、枕やクッションを設置。

最後にビニールに包まれたパジャマを袋から取り出してベッドの上に乗せる。

それが2名のスタッフの手により、迅速に手際良く行われた。

綾芽は彼等にお礼を言うと、早速ベッドに座ってみる。

折り畳み式のベッドである為、弾力はないが、それでも十分快適だと感じた。

彼女は読書灯を付けるとクッションに背中を預けて、フレデリクから貰った本を読む。

本に挟まっていた栞は、フレデリクのお手製で、ペンザンスの邸の庭で摘んだ花を押し花にした物だった。

その裏側には、彼の文字で彼女への愛の言葉が書かれている。

(こんなのを持ってたら、慎吾さんに悪いかな…)

そう思うのだが、綾芽はそれを捨てる事が出来ないでいた。

(隠す様に持っているよりは、きちんと話した方がいいよね)

きっと葛城なら分かってくれるだろうと思い、綾芽はそれをきちんと彼に話す事に決めた。

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