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お嬢様♡レッスン

第116章 雲の上で×××

彼女が本に夢中になっていると、話を終えた葛城が、戻って来る。

彼はジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めるとベッドに上がり、静かに綾芽に寄り添った。

「何を読んでいるんですか?」

「あ…。お帰りなさい。イギリスのね、王家の歴史書なの。結構、面白いの」

本から目を離さずに綾芽がそう言うと、葛城は本を取り上げる。

「あ…!」

「私よりも本の方が大事なんですか?」

そう言うと葛城は、その本をペラペラと捲る。

そして、ページの間に挟んであった栞に目を止めた。

「これは…」

そこには綺麗な筆記体で綾芽への愛の言葉が記されていた。

「それ…。フレデリクに貰ったの。思い出だから…持っていてもいいですか?」

綾芽は葛城の様子を恐る恐る確認しながら尋ねる。

彼は暫く栞をじっと見ていたが、ふっと微笑むとそれを本に挟み、綾芽へと返した。

「貴方が私を一番に愛していると示して下されば、結構ですよ?」

そう言うと彼は、部屋のブラインドを全て下げる。

そして再びベッドの上に座ると、彼女を自分の方へと抱き寄せた。

「さぁ、どうしますか?」

綾芽の顔を覗き込み、葛城はにこりと笑う。

口元は笑っているが、瞳の奥が笑っていない。

(こっ…これは…っ!!)

「し…慎吾さん?ここは飛行機の上ですし…ね?ほら…禁止されている訳ですし…」

「ご安心下さい。彼等にはヘッドフォンを着用する様に伝えてきましたから」

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