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お嬢様♡レッスン

第116章 雲の上で×××

「私ね、色々な事があったけれど、ずっと一緒に居るのは慎吾さんが良いって改めて思いました。だから、慎吾さんに嫌われたくない。慎吾さんが望む事だったら、何でもしてあげたいって…。そう思ったんです」

「綾芽…」

「ロートマン家って貴族でしょう?やはりきちんとしなくちゃって、いつも気が張っていたんです…」

綾芽は、今までの事を思い出しながら、葛城に対する想いを口にする。

突然のトラブルに見舞われ、記憶を失くし、彼を忘れてしまった事。

何時、そんな状況が再び訪れるのか誰にも分からない。

であれば、伝えたい気持ちがあるのなら。

それはきちんと言葉にしなければ、伝える事が出来ない。

綾芽はひと夏の間中、ずっとそれを考えていた。

「記憶がなくなっていた時も、皆に教えて貰った事は、ちゃんと身に付いていたの。だから、何とか出来たの。でも…、心はぽっかり穴が空いたままだった。それは彼等に愛されていても、少ししか埋まらなかった」

切々と自分の気持ちを吐露する綾芽の言葉を葛城は黙って聞いている。

彼は綾芽の全てを受け止めたい。

そう思っていた。

「慎吾さんに逢って、全てを思い出した時…。何だかよく分からなかったけど、その穴が埋まって…。それでね、そこからもっと色んな事が溢れ出したの」

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