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お嬢様♡レッスン

第116章 雲の上で×××

口を開き掛けた葛城を遮って、綾芽は突然意外な事を口にした。

「慎吾さん!日本に戻ったら、私とお式を挙げて下さい!!」

「綾芽…?」

「婚約パーティとか、そういうまどろっこしい事は省いて、この際、結婚式を挙げましょう!!」

そう言って綾芽はニッコリと笑った。

降参だ。

彼女を導くつもりでいたが、どうやら本当に導かれていたのは自分なのかも知れない。

初めて出逢った時は、両親を亡くしたばかりで儚げで。

知らない世界に突然放り込まれて、頼り無げで。

それが今では、こんな男前な事を言うなんて。

本当に愉快で可愛らしくて。

自分の心を捉えて放さない。

それが、『杜若綾芽』と言う女性だ。

「その言葉、後悔しませんか?」

「しませんよ!だから御受けしたんじゃないですか、プロポーズを」

「ふふっ。そうでしたね」

「そうですよ!普通だったら、あのシチュエーションは有り得ないですからね!」

「やはり、気にしてらしたんですか?」

「そりゃあ、一生に一度の事ですから、もっとロマンチックな場所で…とか思いましたけど…」

「でしたら、断って下されば良かったのに…」

「そんな事をしたら、慎吾さん泣いちゃったでしょう?」

「泣きませんよ?泣いたのは貴女の方でしょう?」

「嘘です!あの時、泣きそうな顔をしてましたよ?」

「そんな筈はありません」

「でも、余裕はなかったでしょう?」

「それは…貴女がイギリスに残る等と仰るから…」


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