テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第117章 慌ただしい日々

綾芽からのメッセージでご機嫌になった葛城を見て、彼女は微笑む。

全くどちらが年上なのか、分からない。

しかし、綾芽は葛城が自分の事を想い、我慢してきた反動なのだと理解していた。

大切な人にそれだけの無理をさせたのだ。

これからは彼だけを見て、彼の事だけを愛そう。

綾芽はそう思った。

苦痛な時間を何とかやり過ごし、二人はJFK空港に降り立つ。

迎えの車に荷物を積み乗り込むと、ニューヨーク郊外にある宗佑の邸へと向かった。

宗佑は仕事を抜け出して、二人を迎えてくれる。

「綾芽!!」

両腕を広げて綾芽に微笑む宗佑の腕の中へ、彼女は迷うことなく飛び込む。

「お祖父様!!」

「ああ…。無事にキミに逢えて…嬉しいよ」

そう言うと宗佑は、可愛い孫娘をギュッと抱き締めた。

仕事で日本には殆ど居ない事が多い彼だが、そういう理由で逢えないのと、行方不明で逢えないのとでは、訳が違う。

安堵し嬉しそうに、そして愛しそうに綾芽を見つめる宗佑を見て、葛城も心から嬉しいと感じていた。

宗佑は傍で佇む葛城にちょっとした意地悪を思いつく。

「綾芽、今夜はお祖父ちゃんの部屋で寝ようか?」

彼はそう言うと、葛城の顔をチラリと見る。

案の定、彼の言葉に葛城の顔はヒクヒクと引き攣っていた。

「キミが経験して来た事、色々と聞かせて欲しいんだ」

「え?でも…」

突然の宗佑の誘いに綾芽は戸惑う。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ