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宗佑は暫く考えた後、葛城に『キミはそれでいいのかい？』と尋ねた。

葛城は宗佑の問いに頷く。

それを見て宗佑は溜息を零すと、『二人が決めた事なら好きにしなさい』と言って、綾芽達を尊重する事にした。

曾孫が嫁ぐ先の会社もバックアップせねばなるまい。

全く、あの若造は抜け目がない。

しかし、そんな男は嫌いではない。

宗佑は上品にお茶を飲むウィリアムの事を思い出しながら、そう思った。

「ずっと飛行機の中で疲れただろう？今日はゆっくり休むといい」

そう言い残して、後は執事に任せ宗佑は仕事へと戻って行った。

勿論、ディナーには戻って来て、孫娘の将来について、もっと詳細な事を話し合う事にして。

宗佑のアメリカの邸宅の執事は、イギリス人である。

ヨーロッパ、アメリカ、勿論日本にも執事学校があるが、最も需要が高いのは、イギリス人だと言う。

王室、貴族階級の制度が世界的にも有名だから優秀だというイメージがあるのであろうか。

宗佑はそう言う理由で、彼を選んだ訳ではなく、偶々、協会から派遣されて来たのがイギリス人だったと言うだけなのだが。

その彼に案内され、綾芽と葛城は客室に通された。

「何か御用があればお申し付け下さい」

そう言って頭を下げると、執事は部屋を出て行く。

宗佑には二人の好きにさせるようにと、言われていた。

パタンと扉が閉まる音がすると同時に、葛城は綾芽を抱き寄せる。

彼が待ちに待った甘い時間の始まりだ。