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お嬢様♡レッスン

第117章 慌ただしい日々

彼はどうしてしまったのだろう。

こんなにも激しく自分を攻め立てるなんて。

しかし、それは乱暴ではなく、あくまでも優しい。

これはきっと彼の愛の方が大きくて深いからだ。

自分の愛が彼の愛に釣り合っていないのだ。

彼は完璧な使用人として、尊敬をされて来たが、本当の彼を知っている者は恐らく殆ど居ない。

ずっと自分の感情を押し殺して。

そうやって生きて来た人なのだ。

その彼が感情を剥き出しにしている。

それは自分を愛し、心を許してくれているからだ。

自分ももっと大きな愛で彼をつつまなくては。

子供の頃に親と死に別れたのは、フレデリクだけではなかったのだ。

彼は更に大きな傷をその心に負っていたのだ。

それを時間を掛けて癒して行こう。

綾芽は葛城の愛撫を受けながらそんな事を考えていた。

すると突然、葛城の手が止まる。

「綾芽?何を考えているんですか?」

彼の声が少し不安そうだと聞こえるのは、自分の思い込みなのだろうか。

それなら、彼が不安にならないように、しっかりと抱き締めて上げるだけだと綾芽は思う。

「慎吾さん…。この手を外して?これでは貴方を抱き締められない…。私は貴方を抱き締めたいの。身体も…心も…。私は一方的なのは嫌。貴方は言ったわ。身体を重ねる事は会話なのだと」

綾芽にそう言われて葛城はハッとした。


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