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お嬢様♡レッスン

第117章 慌ただしい日々

それを葛城が優しくハンカチで拭ってくれた。

綾芽は葛城に身を任せ、目を閉じる。

今にも口付けを交わしそうな甘い雰囲気を壊したのは高月だった。

「ゴッホン!葛城さん。私達の前でイチャイチャするのだけは止めて頂きたいですね」

「そうですよ。どうせ飛行機の中でもイチャイチャしてらしたのでしょう?」

高月に白河が加勢をし、葛城をやり玉に上げる。

しかし、二人の揺さ振りには動じない葛城。

「よくお分かりですね。皆さんの分までたっぷりイチャイチャとして参りましたよ。ね?綾芽?」

「ちょっ!慎吾さん!?恥ずかしいのでそういう事は言わないで下さい!!」

「おや、恥ずかしい等と今更ではありませんか。私が望む事は何でもして下さるのでしょう?」

「それはそうですけど…」

そう言うと綾芽はチラっと高月と白河を見た。

恐らく彼等に気を使っているのだろうと葛城は感じ取る。

「綾芽様、私達にお気を配って頂く必要はございません。大丈夫です。完全に吹っ切れたとは言えませんが、貴女の幸せが私共の幸せです」

高月はそう言って微笑んだ。

まだ辛いけれど、彼女が無事で居てくれて、幸せであればそれだけでいいのだと自分に言い聞かせて。

綾芽の安否が分からなかったあの日々に比べたら、生きて目の前で幸せそうにして居てくれている方が何倍もいい。

例え他の男のものであったとしても。

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