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お嬢様♡レッスン

第121章 【番外編】オフの(元)執事達Ⅴ

「ああ、今日はそれは忘れて下さい。今日の私は綾芽様に振られた、憐れな唯の一人の男…。皆さんと一緒です」

そう言って高月はグイッと缶ビールを仰ぐ。

なんとも似つかわしくない光景に、皆は顔を引き攣らせながら乾いた笑い声を上げた。

「全く…葛城さんときたら、幸せそうな顔して…。私にドヤ顔しくさって!!あ~!腹が立つっ!!」

高月は悔しげに顔を歪めながら三本目の缶に手を伸ばす。

「高月さん!明日も早いんですから、余り飲み過ぎない方が…」

そう言って白河が上司を止めようとするが『黙りなさい!』と一蹴されてしまった。

「これが飲まずして居られますか!?一度は私の手を取って下さったのに…」

そう言うと高月は、テーブルに突っ伏した。微かに肩が震えている。

(高月さんて、泣き上戸なのか…)

そこに居るメンバー達の誰もがそう思った。

しかし、彼の気持ちが分からない訳ではない。

自分達は、手すら取って貰えなかったが、苦しかったのだ。

それが、高月は幸せの絶頂から直ぐに叩き落とされたのである。その苦痛は如何程の物か、計り知れない。

「でも………」

そう言うと高月は顔を上げる。目には薄らと涙を滲ませてポツリと言った。

「綾芽様が幸せになられて良かった」

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