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お嬢様♡レッスン

第121章 【番外編】オフの(元)執事達Ⅴ

「イヤッ!何でもない!あ、明日も早いし高月さん連れて行かなきゃならないから、俺、もう帰るわ」

そう言うと白河は高月を背負い、そそくさと部屋を出て行った。

「そう言えば巽って、執事の仕事をキチンとやりたいからって大学辞めたんだろ?」

黒崎は白河達が出ていった扉を見つめながら、誰に問うでもなくそう言った。

「そうみたいだね。頑張ってるって安岡の小母ちゃんが言ってた」

「マコ兄も巽クンも頑張っているんですね…」

「ちょっと!広夢?それは俺が頑張っていないって言ってるわけ?」

「そんな事言ってませんよ。唯、二人は一番近いところでお嬢様と葛城さんを支えて行かなければならないんですよ?それって辛い事じゃないかなって…」

「確かに…」

「おいおい!俺は別にそんなに辛くはないぞ?」

「マコ、俺達の前で無理する事ないよ?」

「別に俺は…最後に綾芽ちゃんから、沢山の愛を貰えたから思い残す事はないんだ。一番辛かったのは莉玖だよ」

そう言うと黒崎は窓の外を眺めている杜若の背中を見つめた。

『従弟』と言う近しい血の為に、彼女を抱く事に踏み出せなかった杜若。

彼は背中に視線を感じて振り向いた。

「俺は大丈夫っす!」

そう言って笑顔を見せた。ペンザンスの海に想いを沈めてから半年が過ぎた。

あの時の痛みは完全に消えた訳ではないが、それでも二人の幸せな姿を笑って見て居られる。

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