お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
「いや、貰っていたとしても言いませんよ! どうせ皆さんのツマミにされるだけですからねっ! 誰に貰っただの、どの子がいいんだだの訊き出すつもりなんでしょう!?」
巽がそう言って安岡をギロリと睨むと彼女は肩を竦めてペロリと舌を出した。
「あら、よくお分かりで……」
「何だよ。去年までは、家ん中で嬉しそうに幾つ貰っただの、誰から貰っただの、訊きもしないのに自分でペラペラ喋ってたじゃねぇか」
「ちょっ! 親父!! そう言う事は言うなよっ!!」
「へぇ~? それで? 今年はどうなの?」
「いやいや、言いませんよ! 執事ですから。私は口が堅いんですよ?」
そう言って巽が構えると、皆が一斉に微笑んだ。
「お前も成長したんだな! 父さんは嬉しいぞ!!」
「あの悪戯ばっかりしていた腕白小僧が、ちゃんと執事として成長しているんだと思うと、オバちゃん胸熱だよ……」
「本当だよなぁ……。あんなちっこかった巽が、今じゃあ俺達の上司だもんなぁ……」
皆、感慨深気にそんな事を言って巽の頭を撫でる。