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お嬢様♡レッスン

第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情


「あっ! タツ兄~!!」

白河が裏庭のベンチに座っていると、軽い足音と共に、甘い香りを纏った少女がやって来た。

速水の妹の愛華(まなか)。小学6年生である。速水には二人の妹が居て、彼女は末っ子だ。

「愛華、お邸に来ちゃ駄目って言われてないのか?」

「中には入っちゃダメって言われたけど、お庭に入っちゃダメとは言われてないよ?」

きょとんとした顔で愛華が答えると、そう言えばそうかと、白河は思った。

自分も小学生の頃、裏庭でよく隠れんぼや鬼ごっこをして遊んでいた事を思い出した。

広大な東乃宮邸の裏庭もかなり広い。整えられた庭の先には温室があり、雑木林がある。そしてその先に、使用人達の住まう住居があるのだ。

そこに住む者は、敷地内に自由に出入りは許されている。近所の子供を招いても、特に叱られた事もなかった。

「それで、今日はどうした? お父さんに用事か?」

そう尋ねながら、白河は愛華を隣に座らせる。

愛華は、白河の問いに首を横に振ると、ポケットから小さな包みを取り出した。

「これ、タツ兄に渡しに来たの!」

そう言うと愛華は、小さな包みを白河の膝の上に置いた。

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