お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
杜若の了承を得た綾芽は、馬達に近付くと、一頭一頭にリンゴと角砂糖を少しだけ食べさせた。
馬達はそれを嬉しそうに食み、嘶く。綾芽はそんな彼等の首を優しく撫でてやると、彼等はまた嬉しそうに首を縦に振った。
「良かったな。お前達」
彼等の嬉しそうな姿に杜若も嬉しくなり、彼等の首をポンポンと叩いてやる。
「それからね、莉玖には……。はい、チョコレート」
「え? 俺に?」
綾芽から綺麗なラッピングを施された包みを手渡されると、杜若の胸は少しだけ喜びに跳ねた。
バレンタインには興味の無い彼ではあるが、やはり好きな女性から貰えるのは嬉しい。
彼女の事は諦めたとは言え、想いが消えたわけではない。そんな人からの思いがけない贈り物に喜ばない男はいないだろう。
「そ、莉玖に! それから、これは叔父様に」
「なんだ、親父にもあるのか」
「当然でしょ? 叔父様にもお世話になっているんだもの」
「ん……。だよな……。どうせ、義理だもんな」
「ちょっと言葉が悪いかな。これは"義理チョコ"じゃなくて"感謝チョコ"なんですからね!」
そう言って杜若の言葉に、綾芽はぷくっと頬を膨らませた。