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お嬢様♡レッスン

第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情


「義理でも感謝でも、チョコはチョコだろ?」

そう言いながら包みを開けると、杜若はチョコレートを一つ口に放り込んだ。

「ほんと、莉玖はいつも素っ気ないなぁ……」

もぐもぐと口を動かす杜若を見ながら、綾芽は苦笑する。でも、そういう彼だからこそ、一緒に居て安らげる時もあると彼女は思う。

彼の心の奥底にある想いを知らない綾芽。それは杜若自身が望んだことではあるが、時々自分の気持ちを吐露してしまいそうになる。

遠い国に捨ててきた筈の想い。

自分でそう決心したにも関わらず、中々消えてくれない。人の心の襞は複雑で、そこに隠れている想いを完全に取り除くには時間が必要なのだ。

自分も前を向いて幸せになりたい。

そうは思うものの、彼女の傍に居れば、やはり彼女が愛しくて。求めてはいけないと思いつつも、彼女の声がすれば姿を探してしまう自分が居る。

白河は執事として綾芽の傍に居なければならない。時々逢うだけでもこんななのに、毎日顔を合わせている白河はどうなのだろうか。

今夜あたり、そこのところを訊いてみようか等と考える。

杜若は綾芽の去った後、スマートフォンを取り出すと、白河を飲みに誘った。

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