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お嬢様♡レッスン

第20章 Lesson 8♥おもてなしの心を学びましょう

つまり、お金を貰えてお嬢様とエッチが出来て、期間満了になれば執事にならなくても良い。

どんなに我侭なお嬢様でも、一定期間我慢をすれば良いのだ。

白河にとっては願ったり叶ったりの条件だった。

正直、茶道を教えると言うのは怠いのだが。

(まぁ、茶人になる訳でもないし、作法とか所作を一通り覚えて貰えば良いだろう)

茶人として道を極めるのであれば、『和敬清寂』を深く理解し、精神を極めなければならないだろうが、一般教養として身に付けるのであれば、『もてなす心』と『作法』さえ身についていれば、問題はないと白河は思っている。

実際、大学で偶然一緒になった、ある流派の次期家元がそう言うのだから、それで良いだろうと白河は思う。

そして、綾芽のやる気を見るに、作法については直ぐに会得出来るであろうと感じた。

(…となると、俺のメインはお嬢様とエッチだな)

願ったり叶ったりの展開だ。

(この前のは物足りなかったし、今日はとことん楽しませて貰うかな)

心の中でほくそ笑む、野獣・白河なのであった。

そんな事を知らない綾芽は、熱心に白河の作法や説明を見ていた。

和装の為に結い上げて顕になった白く細い項が色っぽい。

「今日は私が点てますので、取り敢えず今、ご説明した作法を思い出して召し上がってみて下さい」

「点てて頂けるんですか?わぁ!楽しみです」

にっこり笑う綾芽に、少しだけ後ろめたい気持ちが芽生えるが、白河はそれを振り払った。

白河が釜の前に座ると、空気感が変わる。

綾芽も思わず背筋を正す。

嫌な緊張感ではなく、白河が真剣に『茶の道』と向き合っているからこその緊張感だと綾芽は思った。

和室を模した一角は、今、完全な茶室だ。

掛け軸が掛けられ、それに調和する様に活けられた花。

風炉からは香の香りが立ち上る。

昨日の晩に覗いた時にはなかったから、白河がきっと用意したのだろう。

作法を習うだけであるのに。

先ずは挨拶から始まり、掛け軸や茶器について綾芽が質問し、白河がそれに答える。

菓子は柳瀬が運んで来てくれた。

綾芽は懐紙を取り出し、和菓子を1つ選ぶとそれの上に載せ、菓子を頂く。

白河が茶筅で茶を点てる音が静かな空間に響く。

柳瀬が薄茶の入った茶碗を静かに置いて礼をすると、綾芽もそれに返礼し白河に『お点前頂戴致します』と礼をする。

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